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IFA太田氏の今週のマーケットの振り返りレポート(2023年9月16日)

Weekly 10月2日



期末意識も第4四半期波乱スタート警戒


米10年物国債利回り5%乗せの予想が現れて来た。28日は一時4.68%と4.5%攻防を抜けて来た。BofA(バンカメ)のストラテジストは、FRBのタカ派姿勢、米経済の力強さ、24年度末までに4.8兆ドルの国債発行圧力などを要因に、5%に達する可能性があるとの見通しを発表した。市場予測確率は5%乗せ27%、5.4%突破(20年来ピークは07年6月の5.29%)確率も15%に上昇した。ただ、2年債利回りは5.13%台で上昇しておらず、投機筋の狙いは2-10年債利回り差の縮小にあると見られる。金利上昇圧力がやや誇張されている印象はある。

原油相場はバレル当りWTIが27日一時94ドル台、北海ブレントが97ドル台。米週間在庫統計で原油在庫が220万バレル(予想32万バレル)の大幅減となったことで投機勢が攻勢を掛けたと見られる。100ドル原油が視野に入った。UAW(全米自動車労組)ストは、29日に追加スト計画が伝えられた。バイデン激励で勢いを増した観がある。インドに第3工場建設が伝えられたトヨタと明暗を分けた。

10月1日にも政府機関が一部閉鎖されるが、次第に深刻感が増して来た。米SEC(証券取引委員会)は連邦政府閉鎖に陥れば無給の一時帰休によって職員9割削減、IPO(新規株式公開)承認など日常業務が停止すると警告した。民間の請負業者に代金が支払われない事態が想定され、1日当たり最大19億ドル規模と試算されている。130万人の軍人、200万人の連邦職員の給与支払いも停止される。混乱は9月統計への評価判定を著しく低下させる恐れがある(失業率4%乗せの恐れなど)。

中国では中国恒大がいよいよ追い込まれて来たようだ。前経営陣が拘束される一方、創業者・許家印氏が当局監視下に置かれたと報じられた。25日期限の人民元建て債(約800億円)の元利支払いが行われていないようで、新規社債発行困難と伝えられる。清算リスクが高まっていると見られるが、どう展開するかは不明。中国は国慶節の長期休暇シーズンに入ったので、その間に何かをやるのかも知れない。27日、新華社は「反腐敗の取り組み強化」を伝えた。26日に党検査チームが数十の国有企業調査を終了している。

展望論議と言うより、流動的要素に警戒しながら期替わりに向かうと思われる。

 10-12月期相場の焦点は依然、金利情勢、中国情勢、ウクライナ戦争の行方、さらに米大統領選の行方(共和党討論会でニッキー・ヘイリー氏の評価が上がり、民主党ではミシェル・オバマ夫人を担ごうとする動きがあり、初の女性対決に向かうか注目される)など攻防材料が多い。その中で、環境銘柄に替わって人気対象になりそうなのは、高配当銘柄、エネルギーを中心とした技術革新銘柄、年末商戦好調や値上げ浸透業界などが想定される。



国際枠組み変更へ、日本企業はその波に乗れるか


岸田首相が俄かに「資産運用立国」を強調し始めた。今までも、例えば就任直後の小池都知事などが主張(東京を国際金融都市に)していたので、目新しい話ではないが、今までとは異なる背景がある。大雑把なイメージで、1)中国がヤバい、2)カリフォルニアが壊れている、3)日本の個人金融資産2000兆円超えで金融安定化。既に、ESG投資では欧米では資金が集まらず、中国に投資してもリターンは見込めず、シリコンバレー銀行破綻後の4月から日本買いが急増した。

大きな背景に国際枠組みの再構築があると見られる。国連安保理は機能停止、IMFはロシアは救済しないとしても、中国への手出しも困難だ。意外な例として、医療分野でも同様の事が起こっている。コロナ騒動でWHOは失墜、国際赤十字活動も窮地にある。

G7を中心に話し合われているのが「グローバルヘルスののためのインパクト投資イニシアチブ」。「インパクト投資」は民間から資金を集め、社会課題の解決を後押しすることを目指す。薬物耐性菌問題や水など衛生環境、栄養改善などが話し合われていると言う。リターンは改善貢献度で示される。この事務局は日本(東京?)に設置と報道されている。同様にインフラ投資(当面の大きな課題はウクライナ復興投資)、ESG投資(再エネが引き起こす問題への技術革新を含む)などでも、財政から民間資金シフトの枠組みが進められるものと見られる。日本企業がその波に乗れるかどうかが中長期的なテーマとなろう。

足元の米国株相場は軟調。バイデン大統領はUAWスト現場を訪れ(大統領としては初)、40%賃上げ要求を支持した。原油高騰局面で環境派に迎合し、シェール増産を否定した時と並ぶ、インフレ煽り行為。相場を支えたアマゾン株が4%の急落、FTC(米連邦取引員会)から反トラスト法違反で訴えられた。17州の検事総長が参加。米政府はテック大手の独占的支配に警戒姿勢を強めており、グーグル、フェイスブック(メタ)も訴えられている。結果的に秋相場を売りから入ったヘッジファンドを勢いづかせたと見られる。基調は高止まりしている金利水準を睨んでの攻防と考えられる。



バイデン株一段安


米大統領選でバイデン株が一段安となっている。24日、ワシントンポスト紙とABCテレビの世論調査結果で、バイデン氏の不支持率56%、支持率37%を大きく上回った。経済対策支持30%、不法移民問題23%と内政問題での不人気が顕著と伝えられた。ウクライナ支援が「過剰」41%で、2月調査の33%からジリジリ上昇しており、共和党の支援縮小議論に追い風となっている。共和党候補ではトランプ支持が54%、4回の起訴・一時逮捕の圧力戦略は裏目に出ている。

日本ではあまり報道されていないが、バイデン氏は国内を精力的に周っているものの、各地でひんしゅく発言を繰り返している様だ。9.11同時テロ慰霊祭に参加せず訪問したアラスカ米軍基地では「テロ翌日にグラウンド・ゼロに立ち地獄の門を見た」と発言したが、訪問は9日後、上院議員団としてだった。ハワイ・マウイ島大火災では、自宅キッチンのボヤを参考事例として喋り、顰蹙を買ったなど。米国民がバイデン氏の年齢を問題視する見方は7~8割に上るとされる。バイデン氏、トランプ氏が次回の大統領選の主役だとすれば、米国の政治弱体化は着々と進んでいることを物語っている。

21日、国連総会で訪米したウクライナのゼレンスキー大統領と会談、「支援継続を確約した」と報じられているが、何等かの圧力を掛けた可能性はある。審議が止まっている国防支出法案で、10月1日からの政府機関閉鎖、雇用統計(6日)など発表遅延とともに、ウクライナ支援停止の恐れもある。



上川外相初仕事か、日本への投資勧誘


誰も言わないので敢えて言うと、22日の日銀「現状維持」は米国の要請ではなかろうか。

一番正直と言われる鈴木財務相が「米国などと緊密に意思疎通を図っている」と言っている。

先の事は分からないが、足元で警戒されているのは「ドル安転換→投機筋が100ドル原油相場押し上げ→インフレ警戒一気に強まる」展開と考えられる。日銀が動きドル安円高に急激に振れると基調としてのドル安転換を招く恐れがある。イエレン米財務長官が「円安防止介入に理解」とわざわざ表明したことも、日本側の「現状維持」での円安懸念に対処した可能性がある。

9月25日から10月6日まで「ジャパンウィークス」だそうだ(10月4日はトウシの日)。岸田首相はNYの講演で、3度目の「岸田に投資を」、「規制緩和・優遇措置で海外運用会社を日本に誘致」と表明した。最初は10月5~6日に米資産運用大手ブラックロックが開催するラウンドテーブルなどに迎合する姿勢だと思ったが、もう少し本気の可能性がある。

一連の国連会合には上川新外相が帯同した。経歴を見ると、ハーバード大卒後、民主党有力議員マックス・ボーカス上院議員の政策スタッフを務めた。ボーカス氏は財務委員長などの経歴が長く、ウォール街ともつながりが深いとされる。上川氏は経済畑や金融市場の経歴はないが、ボーカス氏を中心としたウォール街人脈を継続していると噂される。林氏からの交代も米国の意向があったとの見方がある。岸田首相は経歴や人脈を初めて知ったと思われ、意を強くした可能性がある。

ブラックロックが「脱中国・日本投資」をさらに推進するか分からないが、4-6月期に続く日本買い第二波が10-12月期に来る可能性が考えられる。差し詰めテーマは「日経平均とNYダウの絶対値逆転」か(少なくとも日経平均3万5000円以上で実現するイメージ。下落して逆転する可能性もなくはないが)。

代償はウクライナ復興への巨額(20兆円規模?)支援説がある。岸田首相は11月にも解散・総選挙を行い、選挙後に増税体制に向かうとの見方も出ている。バイデン政権追随色が一段と強まるイメージだ。



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