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IFA太田氏の今週のマーケットの振り返りレポート(2023年9月9日)

更新日:2023年9月16日

Weekly  9月11日


SQ終えて空売り比率増加

8日の東京株式相場は続落。日経平均の下落幅は一時400円を超えた。この日はメジャーSQ(先物とオプションの最終的な清算をする価格)。日経平均の大幅安は米国で前週の新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、FRB(連邦準備制度理事会)が高い政策金利を維持するとの懸念が強まったこと。また米国と中国のハイテク産業を巡る対立もリスク回避目的の売りも出た。電機や機械、非鉄金属など景気敏感株が下落した。なお、かなり空売りが進行したようで比率は8日は44.5%、前日は41.8%。ちなみに週初は38.6%だった。



アップル続落、人民元安、中国不況の波広がる


7日のアップル株は2.9%続落、前日は3.6%安と2日間で時価総額28兆円が吹き飛んだ。アップル・サプライヤーのスカイワークス、クアルコム、カーボなどは軒並み7%超下落(理由は後述)。半導体株も売られ、SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は1.98%下落、米国上場中国株も売られ、アリババ4%超、バイドゥ(百度)3.4%安など。

アップルなど当事者のコメントは出ていないが、韓国半導体メーカー・SKハイニックス製のメモリ、フラッシュストレージが使われていることが判明。同社は「米国の制裁対象になって以降、取引していない」とのこと。先端7ナノ半導体も、本当に中国で量産化できているのか分からない。米下院の中国問題特別委のギャラガー委員長は「通信分野における中国の王者を宣伝する中国共産党による典型的な行動で、西側企業の市場アクセスを圧迫しようとしている」と発言している。

4日、ファーウェイはサウジ・リヤドにクラウドデータセンター開設を発表(世界で30か所目)しており、量産できるのであれば新スマホの海外売り込みにも動くと見られている。発表ではアラビア語のAIアプリと言語モデルに対応としており、AI展開も含む。それに先立つ1日に中国国家インターネット情報弁公室は生成AIモデル110件を受理したと発表。ファーウェイやアリババなどが含まれる。モデルの中心はAIを使って映像や音声を加工する「ディープフェイク」技術。フェイクニュース合戦が激しくなる恐れがある。一時、エヌビディアのAI半導体の中東向け輸出制限の情報も流れた。

7日発表の中国8月貿易統計は、輸出前年同月比8.8%減、輸入7.3%減。減少幅は縮小したが、逆風が続いているとの認識。対日貿易が急速に落ち込み、対日輸出同20%減、輸入同17%減。先行して悪化していた韓国並みになってきた。数値的には小さいが、これに日本の水産物輸入禁止などが加わる。親中企業では慌てるところも出てきそうだ。

人民元安の攻防が激しくなっている。米市場でオンショア人民元は1ドル7.3299元と07年12月以来の安値。市場では7.5元とか7.6元とかの憶測が飛び交っているようで、中国当局が何処まで防止できるか注目される。



日本株、SQ通過後は流れが変わりやすいが、カギは大手米テック株


夏枯れの後、日本株は6日まで8連騰となった。思惑的に、外国人投資家の中国株からのシフト第二波、7日上場の「アクティブETF」運用競争(プライム市場が相対的に強い)、そして日本経済の相対的底堅さなどが取り沙汰されている。が、通常SQ(8日)通過後は流れが変わりやすく、14日のECB理事会を皮切りに金融政策攻防局面に移行する公算がある。月末に向けては配当取り思惑との攻防に向かおう。

カギを握るのは米テック大手株の動向となる公算がある。なかでも6日に3.6%安となったアップル株(前述、翌7日は2.9%安)が注目される。6日米ウォールストリートジャーナル紙は、中国政府が中央政府機関の職員にアップルのiPhoneをはじめとする海外ブランド端末の公務使用や職場への持ち込みを禁止したと伝えた。中国では先々週末、ファーウェイ(華為技術)が新型スマホ「Mate60プロ」を発売したところであり、先週に中国先端半導体SMIC(中芯国際集成電路製造)の線幅7ナノの先端プロセッサー搭載と伝えられた。  

中国の外資排除、国内優遇策が一気に強まるとの警戒ムードに広がったと見られる。米政府は対中ハイテク規制の有効性がグラつく恐れがあり、詳細把握を目指す意向を表明した。

中国は5日、3つ目の半導体ファンド設立と伝えられた。第1号は14年(1387億元)、2号は19年(2000億元)で、それを上回る3000億元(約400億ドル)。7ナノ半導体は18年に韓国サムスン電子が量産成功を発表していた。「半導体自給自足」は習主席が掲げる重要目標。4日、国家発展改革委は民間経済支援へ「特別局」設置を発表した。国産品優先が激しくなる可能性がある。

アップルの中華圏依存度は2割程度とされる。受託生産の鴻海精密の8月売上高は前年同月比8%減。今週にも予定されているアップルの新製品発表で見通し改善としているが、生産動向が注目されよう。単純比較はできないが、中国依存度約2割と言われる欧州高級ブランド株が続落。6日、代表銘柄のLVMHモエネネシー・ルイヴィトン株は3.6%下落。業界全体の時価総額はピーク比250億ドル余消失と伝えられた。中国ダメージに神経質な地合いが考えられる。

他にも、ウォールストリートジャーナル紙が「米FTC(連邦取引委員会)、今月末にもアマゾンを独禁法違反で提訴か」と伝えた。解体論が出て来る可能性がある。また、世界新聞・ニュース発行者協会など26団体が「生成AIの開発・著作権に関する”世界AI原則”」を発表した。AI開発に制約的になる可能性がある。反面、国外ファンドは8月に中国本土株を約900億元(1.82兆円)売ったと伝えられた。丸々日本市場に流れ込む訳ではないが、中国株売りが継続する公算は大きい。綱引き構図に注目したい。



混線の秋相場、原油高、米長期金利上昇で秋相場スタート


レーバーデー明けの米国市場は、ヘッジファンドが仕掛けていると見られる米長期債利回り上昇、原油相場上昇で始まった。つれて、米株価は反落、足取りの重そうな秋相場のスタート。

季節性もあるが、ドル建て社債発行ラッシュとなり、長期国債に売り圧力となったようだ。5日は少なくとも21本の投資適格社債発行と伝えられ、9月は1000-1500億ドルの発行が見込まれるとされる。

もう一つの圧迫要因は原油高。サウジとロシアが現行の自主減産を年末まで延長すると発表したことを受け、北海ブレントが90.04ドル/バレル、WTIが86.69ドル/バレル。昨年11月以来の高水準。4日のレーバーデーで米国の夏季ドライブシーズンは終ったが、この時期としては異例のガソリン高となっている。1ガロン3.811ドルで約10年ぶり高値。先にフロリダなどを襲ったハリケーン影響から高止まりしていたところに原油高が来た恰好。

9日のNY為替相場で円は対ドルで148円手前まで売られている。もちろん米金利高によるが、もう一つ、足元の原油価格高騰は、ドルがさらに騰勢を強める原動力になっているという見方もある。背景には、エネルギー輸出国として、米経済が原油の値上がりから恩恵を受けることがある。ただ、ドル高が8週間も続くのは異例で、ドルの上昇は毎週小さくなっていると指摘する声もある。おそらく市場はすでにかなりドルを買い持ちになっているはずだ。今週13日、米金利の道筋を示すCPI(消費者物価指数)の発表を控える。

原油先物が1バレル=90ドルに向けて上昇する中、主に対ドルで円とユーロが犠牲となるようだ。5日、米ゴールドマンサックスは「今後1年以内に米国経済がリセッションになる」確率を20%から15%に引き下げた。先週末、ムーディーズが23年米成長率予測を1.1%から1.9%に引き上げたのと呼応する動き。金融引き締めによる米経済押し下げ影響は24年初めまでに「消滅する」と米景気に対し楽観的。また、ゴールドマンサックスは「8月末時点でヘッジファンドは米地銀株の空売りを解消し、米金融サービスセクター全般に強気に転じた」との見解を表明。地銀株売りが上手くいったとは思えないので、ヘッジファンドはやや強引にパフォーマンス修復に動いている可能性がある。その分、方向感を欠く目まぐるしい展開になる可能性があろう。



月初のイベント無事通過。碧桂園はデフォルト回避?


警戒ムードもあった先々週末の雇用統計などのイベントは波乱なく通過した。これを受けて、米金利先物市場での年内利上げ確率は45%→38%に後退した。大勢は「24年4月まで金利据え置き、5月から利下げ開始」シナリオ。

債券市場では、ヘッジファンドの10年債売り(金利上昇)、大手資産運用会社の買い向かい構図にあるとされる。2年‐10年債利回り差縮小のシナリオだが、2年債利回り低下が目立つのか、10年債利回りが上昇するのか、綱引きが続くと見られる。

BofA(バンクオブアメリカ)の週間統計によると、8月30日現在、株式ファンドへの資金流入は103億ドル、うちハイテク株が51億ドル、新興市場株49億ドル。流入は10週連続、年初からのハイテク株流入は340億ドル、消費関連40億ドルと明暗を分けている。

中国の碧桂園は債務返済延長、デフォルト回避と伝えられた。マレーシア・リンギット債の利払いは実施した様で、姑息観一杯。返済期限は次々と来る。31日に理財商品の支払いができなかった中国恒大は音無しの構え。広州市に続き、北京市、上海市など大都市で住宅ローン規制緩和が打ち出されたが、不動産会社上位100社の8月新築住宅販売額は前年同月比39.2%減、7月の34.1%減から悪化した。



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