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IFA太田氏の今週の株式相場の見通しレポート(2023年1月16日)

更新日:2023年1月21日

Weekly  1月16日(文責、太田光則)


米利上げ減速見通しと日銀修正思惑台頭


12日の読売新聞が「日銀は17-18日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和に伴う副作用を点検する」と報じたことを契機に、日本国債売り、ドル安円高、銀行株買いが一気に強まった。同じ日の米CPI発表で、結果的に米金利が低下したが、ドル安円高にはその先取り面があったかも知れない。あるいは「12月の日銀YCC突然修正は岸田政権の圧力」との見方で、背後には米国のドル高抑制要求との見立てがある。日本時間14日未明の日米首脳会談では、再び米国の圧力を受けるのではないかとの思惑が混在していると見られる。そして、その先に日銀政策決定会合(17-18日)、もっと先の1月31日-2月1日に米FOMCが控える。

結果的に日銀がYCC(イールド・カーブ・コントロール。0%±0.5%)を支えるために、12日に4兆6144億円の国債買いを行った。さらに翌13日には5兆円と1日の購入額としては2日連続で過去最大となった。海外から見ればビックリの量的緩和策だが、13日には日銀の上限である0.5%を超え一時0.545まで売られた。おそらく今週の政策決定会合で日銀はさらなる修正に動くとの思惑も見えてくる。

また、12日発表の国際収支状況速報で経常収支は1兆8036億円の黒字となった(市場予想4711億円の黒字)。貿易赤字が11月としては過去最大の赤字だったので、円安=悪論の人にはビックリの数値。エネルギーや海運市況の高止まりで日本企業の配当収入拡大が寄与したと報じられた。経常収支黒字は円高要因となるが、円高は海外勢の日本株買い材料にもなる。サウジ政府系ファンドの任天堂株買い増しが報じられており、動きが広がるか注目される。また、日本の銀行株買いは来期収益期待を投影していると見られ、足元の収益確認だけでなく、徐々に来期収益動向を織り込み始める動きと受け止められる。

米金利は低下した。10年債は一時3.436%があって3.44%台、2年債は4.136%から4.14%台。米金利先物市場での2月利上げが0.25%に止まる確率は約95%(0.5%確率が大幅に後退)に上昇した。ブルームバーグによると、トレーダーの間では”3月利上げ見送り”論が出ていると言う(年初の見立てでは、2月、3月、5月に0.25%ずつ利上げシナリオが優勢)。

12日の米金利低下は、投資家が注目していた12月の米CPIが前年同月比+6.5%にある。珍しいぐらい市場予想とドンピシャ。前月比0.1%下落で、20年5月以来2年半超ぶりの下落に強く反応した格好。ただ、コア指数(食品とエネルギー除く)は前月比+0.3%(前年比+5.7%)で11月の+0.2%から拡大しており、少数だがインフレ高止まりを警告する声もある。このところ、中国経済回復期待などを背景に、原油相場の下落が止まり、非鉄市況などが反騰していることを考慮すると、インフレ警戒ムードが再燃する場面も有り得るように思える。

一方では13日午前にミシガン大学が発表した1月の米消費者態度指数(速報値)で消費者が予想する1年先のインフレ率は4%と12月(4.4%)から低下した。前日の米CPIもインフレ鈍化を示しており、FRBが利上げペースを緩めるとの見方が米株相場を支えている。  

しばらくは米インフレに関して攻防材料が目まぐるしく変化すると想定していたい。



香港、ロンドン株上昇、背後にオイルマネーか


新春相場で目立つのは、香港株(6ヵ月ぶり高値)、ロンドン株(5連騰で4年5か月ぶり高値)の上昇。両市場に共通する材料が先々週末、表面化した。中東最大の銀行ファースト・アブダビ・バンク(FAB)が英銀スタンダード・チャータード(スタチャ)を買収する可能性を一時検討していたと言う。今は検討していないとしているが、報道のあった5日にスタチャ株は一時21%急伸した。HSBCなど他の銀行株も押し上げ、ロンドン活況の要因になっている。スタチャは香港ドル発券銀行の一つで、低迷する香港に中東勢が乗り込むとの期待感が香港株急伸の一因と思われる。

スイスのピクテ・アセットが「日本株をオーバーウェイトから中立に引き下げ、中国株をオーバーウェイトに引き上げ」、シティGが「米国株をアンダーウェイト、欧州株をオーバーウェイトに引き上げ」たのは、オイルマネーの動きを睨んだものと考えられる。

元々、オイルマネーは投資セオリーで動くとは見られない。サッカーやゴルフ関連での大出費を見るとなおさらだ。ただ、支配欲は強いと見られ、香港が手に入るなら幾度となく狙ってくる可能性はある。また、オイルマネーの活性化は売り方を慌てさせる要因と思われ、中国株や欧州株全般に騰勢が広がっている。

日本はこの波に乗れるのか。思い起こせば、昨年11月、韓国まで来ていたサウジ・ムハンマド皇太子が来日寸前でドタキャン、5月にUAEを訪問した小池都知事に何の成果もなかった。バイデン政権追従の岸田政権には今のところ魅力はないと見られているかも知れない。ネックの一つは人権問題。最近もサウジ政府は政府に批判的記事を作成したウィキペディア編集者2人を逮捕・起訴した。中国の人権問題を重視する日米は敬遠対象となり得る。ただし、今のところの話だが。



中国経済回復が世界経済の成長を左右


10日、12月第4週(26-30日)の投資主体別売買動向が発表された。海外投資家は現物1782億円の買い越し(5週ぶり)、先物は4440億円の売り越しだった。第3週に日銀のYCC修正があり、7684億円の先物売り越しだったので、2週間で1兆2千億円強の先物売り越しが軟調相場の主因だったと思われる。結果、12月23日以来10日まで(10営業日連続)ドル建て日経平均200ドル割れ、12月20日以来(15営業日連続)続くNT倍率14倍割れが何処まで修復されるかが当面の焦点と考えられる。

米株連動は変わらないと見られるが、欧州株などにワンテンポ遅れて底堅さが出て来たように見える。インフレが攻防点でアあることには変わらないと思われるが、9日は「イエレン財務長官留任」が報じられ、行き過ぎた悲観論の修正過程に入った可能性がある。

世界銀行が最新の世界経済見通しを発表。23年世界GDP成長率予想は昨年6月の+3.0

%から+1.7%に大幅下方修正、「景気後退の可能性を警告」と報道された。ただ、米成長率予想は+0.5%、24年世界成長率+2.7%とするなど、リセッション懸念は後退する格好。加えて、米GSが23年ユーロ圏経済見通しを昨年11月時点の-0.1%から+0.6%に引き上げた。「2四半期連続マイナス成長(テクニカルリセッション)の可能性はもうない」。

天然ガス相場の下落と中国国境再開を上方修正の理由に挙げている。世銀も中国経済+4.3%成長を前提にしており、中国情勢次第の印象だが、陰に陽に圧力を掛け、中国開放の方向に持って行こうとしている印象だ。モルガンSは中国株(MSCI中国株指数の年末目標は+13%)、人民元(1ドル6.65元)に強気の見通しを示した。ゼロコロナ撤廃による経済活動再開が前提で、感染拡大や習氏の突然政策変更リスクなどは全く触れていないのが強気論の特色。そうなると、海外勢の日本経済の見方にも楽観論が戻って来てもおかしくないと思われる。

1月後半は決算発表が焦点になる。2月期決算の安川電機(6506:通期予想据置、年12円増配)、ローソン(2651:同配当も据置)、11月期決算のキューピー(2809:今期予想15.6%経常減益、年3円増配)などが発表しており、市場の反応が注目される。蛇足だが、米市場で9‐11月決算で赤字拡大の生活雑貨販売のベット・バス・アンド・ビヨンド株が22%超急伸した。破産リスクがあり、買収標的との思惑が高まったとされ、経営戦略が焦点となる公算もあることが連想される


ダボス会議、”分断世界の協調”テーマに


日経平均は大発会こそ下げたが、その後12日まで昨年10月以来の4連騰となった(最終的には5連騰)。ただ、4連騰の累計上昇幅は10月(3~6日)の1374円、9月(8~13日)の1184円に対し、729.14円(5連騰で732.96円)に留まる。それだけ戻りの勢いに欠けるとも言えるし、連騰を伸ばす余地もあるとも言える。NYダウと日経平均の絶対値差が8000ポイント超えまで拡大していることから見て、日本株の弱さが目立っている印象が強い。

戻りの鈍さは、方向感の無さ、物色テーマの欠如で説明されることが多い。例年この時期に開催されて来たダボス会議(世界経済フォーラム年次総会、16日~20日)が相場の方向性を与えることがあった。グローバル化の象徴的存在で、分断された世界にどういった議論となるか、16日から開催される会合を一応注目して置きたい。参加者は過去最多の見込みとつたえられるが、岸田首相は参加せず、日本の影は薄いかも知れないが。ロシアも参加せず、ウクライナが代表団を送り込み、中国は3月引退予定の劉鶴副首相参加と伝えられている。ロシア糾弾集会になる可能性がある。

テーマは「分断化した世界での協調」。事前に行われるリスク認識では「気候変動の緩和と適応の失敗、自然災害、生物多様性の消失、食糧安全保障、天然資源の損失、大規模な環境破壊」が上位に挙げられた。2年間の短期リスクでは「(物価高騰などによる)生活費の危機」がトップとなった。昨年がそうだったように”複合危機”となるリスクも指摘されている。逆説的に言えば、予想外のリスク軽減材料(例えば、ウクライナ停戦など)には反応が大きくなる可能性がある。

あくまでも印象だが、「脱炭素」一辺倒では無くなった観がある。再生エネも自然破壊を引き起こし、エネ供給を不安定化することに直面しているためと考えられる。脱原発だったスウェーデンが「原発新設へ新法準備」と伝えられ、産油国ノルウェーは23年原油ガス生産で6.9%増を見込み、静かに増産体制を敷く。環境先進圏の北欧も舵を切っている印象だ。英調査会社は「グリーン産業は2050年までに世界GDPの5%(10.3兆ドル)規模まで成長可能性がある」と発表したが、インパクトは低下した印象。

太陽光パネルで事実上世界制覇した中国は「今度は水素で覇権目指す」と報道された。“脱炭素も多様化の時代”との印象を受ける。何処から風が吹いてくるか分からないが、思わぬ材料に市場が反応する可能性がある。



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